研究概要 |
3ヵ年プロジェクトの最終年度になる本年度の研究活動は、完成途上にある成果の一部を広く公表し、一層改善することを主目的としていた。そのために、セミナーや講演を通じて議論し、意見を求めること、関連した研究集会を開催することである。 1.研究代表者は、"Commercial Culture, Political Culture and the Political Economy of Trade Policy : The Case of Japan"に基づき、次の大学でセミナーを行う。 アメリカ:エモリー大学(11月3日)、南イリノイ大学(11月8日)、フロリダ国際大学(12月6日)、カナダ:マギル大学(11月22日)、チリ:チリ国立大学(10月20日) また、次の大学で全大学を対象に、当論文をベースにした一般講演を行う。 チリ:タラパカ大学(10月23日)、チリ外務省外交官研修所(10月20日) 特にマギル大学をはじめ大学でのセミナーでは、活発な議論が行われた。国際貿易理論の応用問題として、日本の商慣習を組み込んだ内生的貿易政策と日本政治経済に関する問題をゲーム論を用いて分析し、戦後日本の政治史を説明する論文の主張を理解してもらうと同時に、有益なコメントが得られ、改善の機会がられた。 2.関連した研究テーマである国際経済・金融に関する研究集会を運営責任者として開催した。 REIB International Conference 2002 "International Trade and Finance : The Rochester Heritage" 神戸大学経済経営研究所(7月15-16日) ロチェスター大学のジョーンズ教授による論文「経済発展と貿易・賃金」の報告とともに貿易・産業政策や国際金融の研究報告が2日間行われ、国内外から多くの参加者を集め活発な討論の場を提供できた。 3.11掲載の論文は、費用低減の産業を持つ2国が、それぞれ相互に不完全代替財を生産交換している経済を考える。そこで、2国が財の相互貿易を行っているとき関税・補助金の政策を採用できる場合、生産効率の高い産業に補助金を与えるという産業政策が、世界厚生を高める条件はいかなるものであるかを示している。しかしこれは、必ずしも保護政策を奨めることではないことに留意すべきである。
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