将来の資源価格が不確実であるという条件のもとに、資源を掘り出す時の効率性を保ったまま、異時点間の消費の公平性をもたらす投資ルールを確立するため、まず、採掘活動の最適条件を求め、ホテリングのいわゆる「r%ルール」との関係を分析した。ホテリング・ルールの価格-限界費用マージンの変化率は、確実性下と異なり期待変化率の意味で定義されることになったが、その期待変化率が時間に対する割引率に等しくなるという本来のホテリング・ルールと異なり、資源埋蔵量の大きさが資源採掘費用を引下げる限界効果が期待変化率にどのように影響するかが確かめられた。さらに、資源が枯渇性ではなく再生可能資源の場合には、資源埋蔵量に対する資源の再生率関数の傾きが「r%ルール」に影響することがわかった。 次に、異時点間の消費水準を一定に保つための投資ルールについては、資源価格と採掘量に関する限界費用との差に採掘量をかけた資源レント総額を当該資源以外の資本に投資することを考えた。結果として、資源の埋蔵量が小さい(逆に、大きい)時には、この投資ルールのもとでは、平均的な消費水準は時間の経過とともに上昇(下落)していくことがわかった。ただし、われわれの以前の研究から資源価格が不確実で将来の完全予見が保証されていない時には、過去のキャビタル・ゲインまたはロスの合計を資源レントに加えておかなければならないことがわかっているが、本研究で再生可能資源に分析対象を広げても、この修正は必要であることが確認されるに至った。 今後の課題は、以上の分析を資源の再生能力が不確実である場合に拡張していくことである。
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