研究の最終年度として、主として協力の形成に関する実験を実際に行い、その結果を分析した。昨年度末に完成したネットワークを利用したコンピュータプログラムによる実験を5日間で延べ6回行った(2001年7月30日、31日、10月11日、11月24日(2回)、2002年2月2日)。各回の被験者は早稲田大学の学生(大学院生を含む)各15名であり、延べ90人に対して実験を行った。ただし、前半の3回の実験ではデータは取っているが、主としてプログラムの問題点や実験手順の不備が無いかを確認する予備的実験であり、後半の3回の実験は本実験として、実際に実験データの詳細な分析を行った。現在、データの整理とデータ分析は終わり、一定の知見が得られたが、結果のより詳細な検討は今後のさらなる研究に引き継がれる。 実験を実施する過程で、理論的に検討すべきいくつかの興味深い論点が生じ、昨年度の実験プログラムをバージョンアップする作業を行った。このさらなる実験の計画を進めるために北海道大学文学部山岸研究室を訪問し、実験プログラム作成担当者と綿密な打ち合わせを行った。さらに、その後、先進的な経済実験設備をもつ公立函館未来大学を訪問し、川越敏司助教授と面談した。 また、これとは別に、早稲田大学にゲーム理論や実験経済学の研究に関連する研究者を招いてセミナーを多数開催し議論を行った。セミナーの報告者としては、東京大学神取道宏教授、一橋大学吉原直毅教授、東京都立大学大瀬戸真次助教授、神戸大学関口格助教授、小樽商科大学篠塚友一助教授、慶応大学内海幸久助手、東洋大学瀧澤弘和専任講師などが挙げられる。なお、第5回実験経済学コンファレンスにも参加し、全国の研究者と最新の情報を交換した。
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