この研究では、地域産業連関表に推計に関して重要と考えられる3つの課題について調査・研究を行う。第1は、県内地域間産業連関表の推計と利用方法に関する研究、第2は、雇用表の推計と利用方法に関する研究、第3は、地域産業連関表延長表の推計と利用方法に関する研究である。県ベースでも地域間表、雇用表、延長表について推計作業を始めているところもあるが、様々な課題があり全県に急速に普及するというところまでは至っていない。ここでは、このような推計・応用上の問題点を整理し、解決の方法について考察することを目的としている。 今年度は、これらのテーマに共通する国および地域の産業連関表などの整備状況を把握し、基礎統計データベースを作成することを中心的に行った。各県の産業連関表についてはホームページなどで積極的に公開されていく方向にある。我々の集めた基本情報についても各県の了解を得たところからホームページに公開する方向で整理している。 各県の平成7年度産業連関表について県表と国表、産業経済省の地域表などとの比較を試みた。現在の段階ではすべての県表について収集できていないので、中部地域5県の産業連関表と中部地域産業連関表の比較分析を行った。産業連関表の推計方法は基本的には共通しているが、比較を行うと生産に関しても部門の定義の相違とも思われる差違があることがわかった。この点はもう少し詳細な検討を行う必要があるが、このような比較分析は作成精度の向上を図る上で重要であり、次年度以降、中部以外の地域についても順次検討していく予定である。また、おもな政令指定都市についても産業連関表が作成されているが、市ベースでの産業連関表推計の状況についても調査を行った。この調査をもとに、中小規模の地方自治体レベルにおける応用の可能性についても検証していくことにしている。
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