この研究では、地域産業連関表に推計と活用に関する諸課題を検討した。これまでに公表されている地域産業連関表を収集し、比較可能な形にデータベース化し、都道府県産業連関表と全国産業連関表ならびに経済産業省の地域表などとの精度や作成方法に関する比較分析を行った。また、あわせて市町村産業連関表の作成状況を調査し、推計方法について課題を整理した。 今年度は、ひとつは、昨年度作成を試みた中部5県を事例とした県間産業連関表という新しい産業連関表を用いて県間の相互連関の分析を行った。と同時に、県内地域間産業連関表の作成方法について、三重県を対象としたこれまでの我々の成果をふまえて、その推計方法を整理すると回時に、推計上最も重要となる交易の推計方法について検討を加えた。ここで示した、2つの方法の地域間産業連関表は経済の広域化や地域の多様性に対して、県産業連関表による分析の限界を打破するものとして有用であると考える。 もうひとつは市町村産業連関表の作成が今後増加することが見込まれるため、名古屋市および中国、天津市を事例として、市町村ベースの産業連関表の作成を行い、あわせて推計上の課題を整理した。市町村の場合、地域間交易に関する経済統計が不足することが考えられ、.ここではノン・サーベイ法の一つであるLocation Quotient Methodを利用して県内地域間交易を推計する試みを行った。前者については市経済構造分析を、後者に関しては環境分析への応用を試みた。 これらの研究成果の一部は、http://www.yamada.econo.chukyo-u.ac.jp/rio/で公開している。
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