研究課題/領域番号 |
12630031
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中島 康彦 京都大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (00314170)
|
研究分担者 |
張 南 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (20279061)
|
キーワード | 環太平洋 / マクロ資本ストック / 東北アジア / 北東アジア / 国際資本移動 / 直接投資 / データベース |
研究概要 |
今年度は(1)最終報告書の取りまとめと出版 (2)一部データの修正・延長の他は (3)メコン上流3国及び中国雲南省データの整備・追加、(4)そのデータを用いたモデルの作成及び(5)そのモデルによる予測・政策シミュレーションの実施とその結果のデータベースへのアップを主な作業とした。(3)〜(5)についてやや詳しく説明すると、(3)メコン上流3国とはベトナム・ラオス・ミャンマーで、中国雲南省と一つの経済圏を形成し、最近の中国・ASEAN間の地域協力の核となっている所である。ラオスなどの小国に比べ雲南省がある種の「国」としての実質を持つことなどがデータで明らかとなった。 (4)当該3国1地域を貿易セクターによって連結するケインズ型国際連結モデルを作成した。後に自由貿易協定の効果を見る為、各国財の国際価格比が輸出入に影響を及ぼすという形の定式化で推計したが、一部の方程式はデータの制約などからこの説明変数の係数が有意に推計できなかった。構造の激変で安定したパラメーターを得られなかった可能性もある。 (5)2005年までの予測ではGDP成長率で測ってミャンマー、ベトナム、雲南の順に高成長するがラオスは依然低成長に止まると予測された。貿易収支ではベトナムは現在の赤字から黒字に転ずる。各国・地域の財政支出拡大策が他国・地域に及ぼすプラスの影響については、雲南省やラオスの政策のベトナム経済へのプラスの効果が注目される。最後に、この地域に自由貿易協定が締結された場合の効果も計測したが、その結果は、この効果を輸出入関数レベルで内生化できなかったミャンマーを除きプラスの効果があることがわかった。特にベトナムは2〜4%程度GDPを押し上げると予測され、注目される。
|