初年度の研究は、ドイツの土地住宅事情に関する資料収集を中心にしつつ、社会経済・人口問題全般についての情報収集を行った。 平成12年度前期(4月〜9月)は、立命館大学学外研究制度に基づく外国出張によりドイツ・ベルリンに滞在しており、ベルリン工科大学教授・ベルリン市統計局副所長、Eckart Elsner教授の協力を得て、ベルリン市の人口・社会経済全般に関する統計資料を収集した。またWiesbadenのドイツ連邦統計局において人口統計、土地・住宅統計に関する事情の聞き取りと資料収集を行った。 9月にオランダ、デルフト工科大学で土地台帳情報管理に関するセミナーに参加し、ヨーロッパ中部における、都市の土地情報管理に関する研究状況をフォローする事ができた。 11月に、Elsner教授を招聘し、壁崩壊・統一後ベルリンの人口・社会経済事情についてセミナーをもった。また日本の総務庁統計局人口統計課、東京都総務局統計部にてセンサスおよび土地住宅統計について聞き取りと資料収集、都市比較の方法についての意見交換を行った。統一後、ベルリンの人口は1993年まで増加した後、漸減傾向があり、郊外のブランデンブルク州に流出している。これは高地価の影響によるとともに、ドイツの都市形成の特徴、すなわち首都移転に伴う人口移動についても、日本のような一極集中の形をとらないこと反映している。 平成13年1月に、田中はベルリンの青少年援助にかんする統計会議において、学会報告(Some information about old and young people of Japanese cities)を行った。これは、住宅問題の基礎をなす戦後日本の都市の人口・世帯構成の特徴を分析したものである。 なお、本科学研究費補助金の採択通知が在ベルリンの5月であったので、研究費の執行は、すべて、帰国後の10月以降に行った。
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