研究概要 |
平成13年度は、日本とドイツの世帯の土地・住宅所有の分布構造の分析を中心に研究を進めた。 1.日本の世帯の土地住宅所有分布の格差構造 1980年代以降、日本の資産格差が拡大しているかどうかをめぐって大きな論争があり、資産のなかで大きな比重を占めるのが土地住宅である。1993年の「土地基本調査・世帯調査」と1998年の「土地・住宅統計調査」の比較、1989、1994、1999年の「全国消費実態調査」の土地・住宅資産項目の比較分析を行っている。1990年代のバブル崩壊によって、資産額の縮小とともにその格差の縮小が見られるかどうか、土地・住宅面積、居住条件でみて格差の拡大が見られるかどうか、大都市、地方都市、農村部の間でどのような格差が見られるか、世帯員の年齢階層による格差が見られるかどうかを分析している。 この分析結果にもとづいて、論文「1990年代における土地住宅所有の分布構造とその格差指標」(仮題)として、経済統計学会誌『統計学』に投稿する予定である。 2.日本の世帯の所得分布の格差構造 土地住宅資産格差の分析に関わる論点である所得格差について「全国消費実態調査」「家計調査」を用い、年齢別ジニ係数の計測、ジニ係数の変化の要因別寄与度分析を行った。これによって、1980年代以降の所得分布のジニ係数の増大が、高齢層の比重の増大による「見せかけの所得格差」にすぎないという論点に対して・批判的検討を行なった。この成果は、「1980年代以降の所得格差拡大の高齢化要因について」(共著『生活空間の統計指標分析』)として公刊される。 3.ドイツの世帯の土地住宅および資産所得分布の分析 前年度に収集したドイツの統計資料に基づき、資産所得分布の分析作業を進めている。 4.今年度は、以上の研究を進めるために統計解析ソフトの充実をはかり、SPSS, Mathematicaを購入した。
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