研究概要 |
平成14年度は、土地・住宅所有の分布分析の方法としての集中解析の方法論的研究、本研究へのGISの利用可能性についての検討、土地・住宅所有の主体としての世帯に関するジェンダー視点からの統計分析を中心に研究を進めた。 (1)集中解析の方法論的研究 ジニ係数による集中解析の方法を多次元分布に適用した田口時夫氏の業績およびジニ係数の変化が統計的に優位であるか否かを判定する方法についてサーベイし検討した。ベクトル解析等の数学的基礎の検討にも時間を要したので、予定していたイタリアでのGiorgi教授(ローマ大学)とのディスカッションは次年度に延期した。 (2)GISの利用可能性の検討 土地・住宅所有の地理的分布を表現する手法としてGIS(地理情報システム)の利用可能性について検討した。東京都および京都市の小地域統計を地図上に表現する手法を用いて、土地所有・住宅所有にかかわる諸指標がどのような地理的分布を示すかを検討した。また、ベルリン市統計局で開発されたRBS(Regioales Bezugssystem)との比較可能性についてもみた。なお、GISの利用について、立命館大学地理学教室の協力を受けた。 (3)1990年代以降の日本の世帯の土地所有 バブル経済の崩壊以降、1990年代の長期不況の時期に、日本の世帯の土地所有構造がどのような推移をしたかについて、「全国消費実態調査」「土地・住宅統計調査」を用いて分析し、経済統計学会関西支部11月例会で研究報告を行った。 (3)日本の世帯についてのジャェンダー視点からの統計分析 住宅・土地の所有、利用主体である世帯についてジェンダー統計の視点から、住宅所有形態の差違や地域差によって世帯員の生活時間がどう異なるかについて、統計分析をおこなった。この成果を2003年1月に、ベルリン市統計局主催の国際会議,Youth Assistance in Big Cities2003において報告した。
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