平成15年度は、本研究の最終年度であるので、日本、ドイツ、イタリアの各都市について収集した統計データを用いて、都市類型の比較分析により、住宅・土地事情について統計的説明を行ない研究のまとめを行った。研究の遅れにより今年度はイタリアの都市とドイツの歴史都市の現地調査が実施できなかったので、その地域については過年度に収集した文献と統計データに加えて、各都市のホームページより直近の統計データを補足して分析をすすめた。 その結果、それぞれの国の首都(東京、ベルリン、ローマ)と中規模の歴史的都市(京都、ケルン、ニュルンベルク、フィレンツェ)について、職住近接(ドイツ.・イタリア)か遠隔通勤(日本)か、持ち家志向(イタリア・日本)か賃貸志向(ドイツ)かにより、都市類型を区分し、社会経済的要因、また歴史的・文化的要因によって、その都市の住宅・土地事情がどのように形成されているかについて}社会統計学的視点からの統計的説明を得た。 また、数理的な統計手法であるジニ統計学の集中解析法については、ジニ係数概念の数学的基礎の再検討をおこなうとともに、これを用いて各都市の土地・住宅所有の分布の比較を行ない、土地・住宅所有の格差構造を明らかにした。さらにGISの利用により地域分析結果を地図上で視角化することを試みた。 以上に基づいて、研究成果のとりまとめを行ったが、その成果の一部を経済統計学会誌『統計学』に順次、投稿するとともに経済統計学会やSCORUS(国際統計学会・都市地域統計部会)などで報告する予定である。
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