本研究では地方圏における地方中核都市クラスの30都市で策定された「中心市街地活性化基本計画」等を素材として、中心部の商業活動を軸とした中心市街地の空洞化問題を、都市人口規模別に検討した。地方中核都市の盛衰分岐はその都市人口規模とともに国土軸へのアクセス可能性によって規定されている。中心市街地の空洞化は住宅や公共施設の郊外移転など地域経済システムそのものの変動が基本的な要因であるが、大型店の郊外立地の加速化が特に週末ないしは休日における中心市街地への来街者数減少に拍車をかけてきた。 人口規模で20〜30万人台の都市がその中心市街地の商業拠点が維持されるか否かの分岐に立たされていおり、都市人口規模が10万人台になると、中心市街地における商業集積の維持は非常に厳しい局面に追い込まれている。人口40万人程度以上の都市では中心市街地はそのなかに複数の商業集積拠点をもちなお郊外の大型店に対抗しうる力を保持しているが、人口規模20〜30万人台の都市では対抗できない中心市街地も現れており、人口10万人台の都市になると中心市街地そのものが解体されそうである。また解体されないとしても商業集積や歩行者通行量の最大地点が駅前に移動するなど様相を含んでいる。 振興策としては歩行者通行量の増大を目指すことが、当面する中心市街地再構築の目標となっており、中心市街地活性化基本計画はそのためのハード事業やソフト事業を取り組もうとしている。市街地再構築は商業集積を主とする拠点整備のための「ゾーン」ないしは「核」を設定する。機能分担した「ゾーン」ないしは「核」を取り結ぶために「軸」が設定されている。
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