少子高齢社会への移行は拡大再生産ではなく縮小再生産の視点からこれを見ていく必要があることを地域経済理論に対して強制している。特に地方圏は、大都市圏に先駆けて少子高齢社会が進んでおり、そうした縮小再生産という経済・財政状況のなかで、相対的に豊かな生活レベルを維持していくためには、空間整備における効率性が必要となる。 地方都市に対しては、中心市街地を活性化させようとする法律的な枠組みが「まちづくり三法」として整えられ、中心市街地活性化基本計画の策定やこれに基づく市街地整備事業やTMO (Town Management Organization) 構想に基づく活性化事業が進みつつある。こうした取り組みの適否が、少子高齢社会において地方都市が持続的発展をしていくことができるか否かに大きな影響をもたらす。地方都市における商業集積の動向からしても、地方中核都市よりも小さい都市は中心性を失いつつあり、中心市街地の活性化への取り組み状況が存立の如何にかかわる。 地方都市における中心市街地の活性化の担い手としてTMOが登場してきた。TMOは概ね商工会・商工会議所型と特定会社(第3セクター)型とにわけられるが、都市の自立性の展望を考えれば、特定会社型TMOを立ちあげが求められる。しかし福島県内市町での事例をみてもわかるように、特定会社型TMOの立ち上げには、準備期間が必要である。誰が出資するのか、誰が事業を企画調整して運営していくのか、その体制をとることができるのかどうかなど、まちづくり運動の蓄積がなくてはその遂行はおぼつかない。 少子高齢社会は人口の流動性と定着性との両方に配慮しなければならないが、地方中小都市においては定着性を基軸にしつつ流動性に対応できる空間経済システムを構築しなければならない。つまり中心市街地の活性化は定住人口に対して魅力あるまちづくりを中心とした展開が図られなければならない。定住する魅力のある地方都市に対しては、交流人口が自然と大きくなっていく。そうした視点から中心市街地を再構築することが、少子高齢社会においては地方中小都市に持続的に発展しうる展望を与えることになる。
|