研究課題/領域番号 |
12630039
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
末吉 健治 福島大学, 経済学部, 助教授 (50261722)
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研究分担者 |
初沢 敏生 福島大学, 教育学部, 助教授
山川 充夫 福島大学, 経済学部, 教授
松橋 公治 明治大学, 文学部, 教授
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キーワード | 米沢市 / 企業間ネットワーク / 地域産業集積 / 学習システム |
研究概要 |
今年度は、山形県米沢市における産業支援策・企業間ネットワークに関する実態調査および熊本県における産業支援策・企業間ネットワークに関する予備調査を行った。米沢市および熊本県におけるより詳細な実態把握は次年度以降の課題である。今年度明らかになった諸点は以下の通りである。 米沢市における米沢電機工業会および米沢市電子機器・機械工業振興協議会(「電振協」)の設立経緯、機能等について関連機関、加盟企業、設立に関わったキーパーソンなどへのヒアリング調査を通じて、従来の研究にみられる当該組織に対する評価とは異なると思われる、あるいは設立に至るより詳細な背景に関する、知見が得られた。とくに米沢電機工業会設立に至る経緯については、当時の当該地域における大手メーカー(工場)を取り巻く環境変化、すなわち1980年代初頭における地方工場での品質管理強化の動きが重要であったこと、そのために下請関連企業を含めた生産体制の整備が必要であったこと、などが背景にある。従来の研究ではこの点(設立の説得的な理由)に関説したものは管見の限り見あたらない。他方、こうした大手の動きをいち早く察知して設立されたのが、地元企業を対象とする「電振協」である。これらの組織の重要な機能は、集団的な「学習システム」(TQC運動への共同の取り組みなど)を構築したことであり、当該地域の企業は組立系が中心であったことから、こうした組織的な取り組みをより有効なものとした。地域企業の組織化(地域産業集積の形成)による取引関係のネットワーク化については、あくまでこうした活動(相互の技術力に対する認識とそのレベルアップ)を基盤として展開されるものであり、組織の目的としてはむしろ副次的なものであると考えられる。この点も、従来の研究とは異なる我々の当該組織に対する評価である。具体的な取引関係等の変化、新製品開発等との関連については次年度以降の課題である。
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