1932年の立憲革命の後、タイ政府は自国の砂糖産業の育成に着手した。この砂糖産業育成は成功し1960年には輸入代替を達成することが可能となった。現在に至るまで、砂糖産業においてはタイの産業政策は重要な役割を担い、輸入高関税の保護の下、多くの製糖工場が新設され砂糖キビの栽培面積も一貫して増加傾向にある。長期にわたる育成政策の中で、タイ政府砂糖産業についてどのような未来を描いていたかははっきりしないが、輸入禁止と補助政策で砂糖生産を保護してきたことは事実である。その結果、1954年から1975年の間に砂糟生産は30倍に増大し、年間の平均増加率は17%にも上った。1975年から2000年にかけては、砂糖生産は5.5倍に拡大し、平均増加率は7%であった。タイ砂糖産業は驚くべき成長をとげたわけである。現在46工場があり、世界屈指の砂糖生産国の一つである。現在入手できる最も新しい統計である2002/03年度には770万トンの砂糖を生産し、2002年にはそのうち500万トン以上が輸出された。本研究報告の成果として、世界的な輸出国となったタイ砂糖産業の成功を可能とした要因についての分析をおこなった。成長を支えた大きな要因としては、自国国内市揚の拡大、アジア諸国における砂糖消費の増大、世界の砂糖消費構造の変化が重要であるとの結論に達し、これらの要因解析に焦点をあてた。また、現在のタイ糖業が直面している課題や原油価格の高騰や京都議定書の発効で今後急速な発展が期待されるエタノール生産についての予備的な分析を行い、タイ砂糖産業の将来を農望した。
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