本研究は、(1)現業機関-管理局-(支社)-本社各レベルの管理者の出自と養成・昇進の実態、(2)各レベルの管理者相互間の関係と各々の内部関係の実態、(3)縦割-横割、現業-指導の絡み合う国鉄組織の形態とその変化、(4)各レベルの管理者の経営観と労使関係観、を重点的に分析することを通じて、戦後国鉄の中間管理者層がどのように形成され、どのような行動様式をとることになったのかを実証しようとするものである。本社及び幾つかの地方の人事関係のエキスパートと、昇進類型別に各管理者グループを代表し得るような人たちを対象に行った予備的な聞き取り調査の結果、次のような知見が得られた。 1、本社採用(いわゆるキャリア組)とその他(いわゆるノン・キャリア組)との関係 1)通説はキャリア組の「特権」的な地位を強調する傾向があったが、実際はキャリア組とノン・キャリア組は権限と情報において複層的な構造をなし、その関係は地方毎に異なっている 2)ノン・キャリア組の内部においては出自を異にするグループ乃至個人間に能力主義的な選抜が行われると同時に、様々なインフォマール組織が情報と人事をめぐるパワー・ポリティクスに影響を及ぼしている 2、非現業と現業との関係 1)非現業への登用が、管理者としてのキャリア・パスに重要な節目となっている 2)現業に対する非現業の「指導」が、スペシャルな意味合いとゼネラルな意味合いを併せ持つのが、管理者のキャリア・パスに大きな影響を及ぼす 3、系統の存在 全般的に縦割的な組織構造=系統の論理が強く働いており、系統間の調整の必要性と人事部の権限・役割が相関関係を有する
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