本研究は、日本における急激な金融システムの再編過程を分析し、アジア全体の通貨制度をみなおすなかで金融制度の方向を見出すことを企図している。 本年度は、アジアの金融市場として最も活発な香港、シンガポールの金融担当者、証券担当者から、アジア通貨危機前後の通貨管理者、銀行家、証券業者の政策対応、経営対応をその国の経済事情を含めてヒアリング実施した。さらに、アジア通貨危機の発端となったタイ経済とバーツ危機について、当地で最も精通しているという、民間のバンカーから、こと細かにヒアリングを実施した。 この現地でのヒアリング調査は、われわれが、文献その他で吸収していた知識をくつがいす有益な発見が多くあった。その一つを上げると、アジアで同じ金融市場の自由化政策を国の基本政策としている香港、シンガポールでの銀行への行政指導が、全く異なっていたことである。今後は、なぜ金融市場の自由化を打ち出しながら、政策に違いが出るのかさまざまな方面から分析解明して行きたい。
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