外務省、ルーマニア大使館、マケドニア名誉総領事館を通じて、「南東欧安定化協定」(1999年6月成立)ならびに関連文書、ルーマニアの「発展戦略」、マケドニアの「経済の現状と発展戦略」などの文書を入手し、分析した。そのうえで、現地調査をするために12月11日から23日にかけてスコピエ(マケドニア)とブカレスト(ルーマニア)を訪問した。そのさい、12月12日に経由地のウィーンに立ち寄り、WIIW(ウィーン比較経済研究所)を訪問した。ここで、旧ユーゴ問題の専門家グリゴーロフ博士およびルーマニア問題専門家フーニャ博士と会い、南東欧情勢について意見交換し、この分野に関するWIIWのいくつかの調査報告書を入手した。 スコピエでは、科学アカデミーのボゴーエフ博士(前総裁)、スコピエ大学経済学部のキケルコヴァ準教授ほか多くの研究者ならびに実務家と面談し、貴重な資料を入手した。マケドニアの場合、スロヴェニアやクロアチアとは異なり、旧ユーゴ連邦からの離脱を望まなかったにもかかわらず、連邦解体により、独立を余儀なくされた。マケドニア経済が前提としていた旧ユーゴ連邦の市場の消滅に加え、新ユーゴへの国連制裁(92年〜95年)やコソボ危機の影響により、経済構造再編はとりわけ大きな痛みを伴うプロセスとなっており、国際社会からの特別な支援が必要であることが理解できた。 ブカレストでは、外務省、国立銀行、地域開発局などを訪問し、多くの資料を入手した。とくに外務省地域協力・経済政策部の副部長タナセスク氏との面談で、南東欧安定化協定成立により、南東欧協力イニシャティヴ(SECI)はその役割を終えたことや黒海経済協力機構(BSEC)が具体的にどのように運営されるているかを知ることができた。 入手した資料の分析はまだ完了していないが、平成13年度前半にはマケドニア経済とルーマニア経済に関する論文をまとめることができる見込みである。
|