1.2000年12月にオーストリア、マケドニア、ルーマニアを現地調査した。そのときに得た情報・文献に基づき、特にマケドニアに焦点を当てて南東欧の現状と安定化のための課題に関する論文(日本語)をまとめ、同趣旨の英文論文は、体制転換後の10年間を総括する国際会議(2001年8月末、フィンランドのラッペンランタ工科大学主催)が発表した文書(Congress Book)に収録された。 2.南東欧の経済再建のためには外国直接投資を増やす必要がある。投資環境の点で中東欧と対比した英文論文はハバロフスク国立経済法律アカデミーの紀要に掲載された。 3.ボスニア・ヘルツェゴヴィナについて調査し、和平合意以後、経済復興、難民・避難民の帰還事業、民族融和の取り組みがかなり進んでいるが、ひきつづきかなりの期間、SFOR(安定化部隊)の駐留と国際祉会の支援が必要であるという趣旨の論文をまとめた。 4.南東欧における銀行制度改革について資料収集したが、とりあえず新ユーゴの事例を分析した。新ユーゴでは銀行制度改革は大幅に遅れた。89年銀行法以前から営業する旧来の大銀行は、2000年になっても依然として、「債務者に管理された銀行」の状態を脱することができないでいた。これまでの経過と現状を論文(日本語と英語)にまとめた。 5.南東欧諸国はEUへの依存を深める一方で、EU加盟を目指し、競合関係におかれており、域内での相互の協力が非常に弱い。相互の協力強化と投資環境の整備が必要である。この点は、6月14日マルヌ・ラ・ヴァレー大学で開かれた国際会議「EUの東方拡大」でThe EU and Stabilization of South East European Countriesと題して報告した。 6.これまで南東欧に関して発表した論文を(日本語論文は英訳したうえで)英文の書物にまとめた。これは、Niigata University Scholar Seriesの第1号として2003年3月末に刊行される。
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