研究課題/領域番号 |
12630062
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
加藤 和暢 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (40175279)
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研究分担者 |
大澤 勝文 釧路公立大学, 経済学部, 助教授 (30305247)
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キーワード | 地域構造論 / 産業集積 / 産業クラスター理論 / 社会経済システムの空間的変動 / 市場環境変化への対応能力 / 東大阪市 / 大田区 / 機械金属工業 |
研究概要 |
今回の共同研究の最終年度にあたる本年度は、最終報告書の作成にむけて研究成果をとりまとめるべく、主として加藤が担当した理論的検討の成果と大澤が主に担当してきた実態分析の成果をすりあわせる作業を中心に研究をすすめた。これまでに獲得した知見を体系的に整序し、「産業集積」現象の現代的な意義を究明するところに本年度における研究の焦点があったといってもよい。 まず前者の理論的検討においては、「産業集積」への関心をたかめた原因を「グローバル経済化」と「サービス経済化」の同時進行にともなう市場環境のドラスティックな変貌に見さだめて、現局面における社会経済システムの空間的な変動の特質を考察した。近年、「産業集積」現象を検討するにあたって「暗黙知」を軸とする「学習」の問題が注目をあつめているが、「サービス経済化」の視点から「学習地域」論や「ミリュウ」論を再検討する必要のあることをあきらかにした。また、この問題ともかかわって「産業クラスター論議のかんどころ」をテーマに日本における「産業集積」をめぐる政策論議についても検討をくわえた。 つぎに後者の実態分析においては、前年度までに実施した東大阪市および大田区機械金属工業におけるヒアリングとアンケート調査の結果にもとづいて、市場環境の変化に対応していく個々の企業の能力が「産業集積」といかなる連関をもっているかについて具体的な整理を試みた。この整理をふまえて、日本における「産業集積」のモデルケースとされてきた大田区の実情を検討した。以上の考察をベースとして、市場環境の変化への対応能力に着目した各「産業集積」の時系列的な変化を、地域構造論の枠組をふまえて検討し、相互比較をつうじた地域特性の把握につとめた。 最終報告書では、このような理論的検討と実態分析の成果を照合しつつ両者の連関を考察するなかで、産業集積の比較分析に向けて若干の課題導出を試みている。
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