産業の活性化(新規立地、付加価値・雇用の拡大、生産性など。以下同じ)をもたらす大きな要因として、産業の集積によるメリットの効果が理論モデル化されてきている。本研究では、事業所レベルのマイクロデータを用いて、この集積効果の有無と大きさを実証する。 本年度においては、まず産業集積の諸モデルを検証して本研究での実証に用いるための分析フレームワークを構築した。次に、GISソフトウェアを用い、コンピューター上の多次元空間に作成された日本の微細地図上に工業統計データの位置づけを行った。また、国土庁その他のデータソースから道路、空港、大学、研究所といったインフラの所在地とその属性のデータや、地価変動のデータ等を得て、同様に上記微細地図上にデータを付与しているところである。 この情報を分析することによって、(1)同業種の集積は、産業の活性化にどう影響するか、(2)異業種の集積(経済学者の用語で「都市」)は、産業の活性化にどう影響するか、(3)インターチェンジ、空港、大学といったインフラは、産業の活性化にどう影響するか、(4)地価が高い、あるいは地価が上昇することは、産業の発展にどう影響するか、(4)特定の政策が実施された地域(テクノポリス、頭脳立地、産炭地など)では、政策の目的となった産業の発展が実現したのか。政策目的でない産業についてはどうか、といった素データを作成したところである。 引き続き、この素データを産業集積の理論モデルに当てはめ、産業集積の効果を数値化して分析することとしている。
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