平成13年度は、12年度に実施した農家実態調査の結果分析を行い、社会政策学会第102回大会で報告した。結果分析の課題としては、過去2回の調査結果と今回のものとを比較し、現時点で調査農村が抱えている問題の性格を分析し、問題解決の方向を検討した。 実態把握については、農家階層分析の方法を用いた。具体的には農家類型を用いて分析した。農村地域の世帯を大きく農家世帯と非農家世帯に分類し、さらに農家世帯をA型農家とB型農家に分類し、前者を農業継続の可能性のあるAIと農業継続の可能性のないAIIとした。B型農家は兼業就労により、BI(自営兼業)、BII(常勤型雇用兼業)BIII(不安定型雇用兼業)に分類した。BIV型農家を高齢者のみの世帯とした。 農家階層分析により今回の実態調査の結果を分析してみると、現在の階層的な特徴としては、BIII農家がこれまでの滞留から、BII、BIV農家へと分解に転換し、BII農家の滞留が特徴となっている。 こうした今日の農村で起こっている農家階層の変動は、農家生活の問題としてどのような性格のものであるかを分析すると、現時点での問題としては、農村においては不安定兼業を基盤とした農家家計の存在基盤の弱体化を指摘することができる。 これまでの農家階層の変化をたどると、A型農家のB型農家への分解=BIII農家の滞留から、今回のBIII型農家のBII、BIV型農家への分解として見ることができる。こうして今回の調査結果から、農家階層分解の限界に存在するものとしてのBIII型農家の存在を析出した。こうした分析にもとづいて、今日の農村における格差問題の解決方法として、農村に滞留する最底辺層の底上げを提起することができる。当面、BIII農家の安定化を図ることが、農家階層の下方的な分解を阻止する現代的な課題となっていることが判明した。
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