研究課題/領域番号 |
12630067
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
青野 壽彦 中央大学, 経済学部, 教授 (10055189)
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研究分担者 |
小金澤 孝昭 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70153517)
内藤 博夫 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (20004377)
和田 明子 都留文科大学, 名誉教授 (30087142)
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キーワード | 地域の経済構造 / 織物問屋の産地離れ / 山間部限界生産者の苦境 / ハイテク・IT産業企業の成長 / 中小機械工業企業の二極分化 / 機械工業集積の内部構造 / 地域労働市場とUターン |
研究概要 |
地域経済に関する研究成果の収集・検討、山梨県東部の郡内地域での実態調査により、次のような成果を得た。 1.「経済の地域構造」の研究成果と比較して、本研究が目標とする「地域の経済構造」の研究業績は少なく、またその方法論に関しても十分な検討がなされている状況ではない、との認識を得た。 2.富士吉田市の織物問屋の調査に着手し、問屋や組合を訪問し,基礎データを得た。現在、郡内織物の問屋は富士吉田市と都留市に集積している。都留市の問屋の多くは、主な取り扱い商品を織物から羽毛布団に移して生き残りを図っているのに対し、富士吉田市のかなりの問屋は、産地の織物を扱いつつ大阪や東京へ進出して集散地繊維問屋の道を模索している。双方に共通しているのは、小規模問屋の淘汰と中堅・大手問屋の産地離れである。 3.富士吉田市と秋山村の機械工業の実態調査を実施した。山間部にある秋山村の機械工業の主力は、高度な技術を要しないプラスチックとゴムの機械部品の製造である。企業の多くは限界生産者で、不況の影響を強く受け、経営の縮小や廃業を余儀なくされている。一方、比較的良好な立地条件を持つ富士吉田市の主要工業は、電気機器製造業で、少数の大手企業の子会社と1次下請企業、および多数の2次・3次下請企業群から構成されている。ハイテク産業・IT産業分野の企業の成長と、低賃金・低工賃依存型の企業の縮小・停滞が対照的である。 4・職業安定所で地域労働市場に関するデータを収集するとともに、過去10年間にわたる富士吉田市の高校生の進路・Uターン意識調査を取りまとめた。高卒後の就職希望者はこの間約2割減少した。就職希望先は男子では情報関連産業、女子では医療・福祉関係と公務員が増加している。Uターン希望者は増加傾向にあり、地域でのUターン者受け入れ体制の整備が急務となっている。
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