1、1993年と1996年の家計調査データ(Susenas)を用い、タイル尺度により州別の家計間消費支出格差を計測した。また、線形重回帰分析の手法を用いて、貧困対策のために1994年に導入された後進村落に対する政府補助金(Inpres Desa Tertinggal Program)が消費支出格差にどのような効果があったかを分析した。この分析によると、後進村落に対する政府補助金が州内の家計間格差拡大の抑制策として一定の効果があったことが分かった。 2、1993年から1997年の州別地域所得データを用いて、タイル尺度により地域所得格差を計測した。石油・天然ガス部門を含む地域所得データによると州間の格差は徐々に減少する傾向が見られたが、石油・天然ガス部門を除く地域所得データによると格差は若干ではあるが逆に増加する傾向が見られた。また、タイル尺度の要因分解式を用いて州間の地域所得格差を地域間格差(スマトラ、ジャワ、カリマンタン、スラワシ、その他地域間の格差)と地域内の州間格差に分解したところ、地域所得格差の約90%は地域内格差によるもので、地域間格差は全体の地域所得格差にはほとんど貢献していないことが分かった。 3、1985、1990、1995年の全国レベルの産業連関表を用いて成長要因分析を行った。この分析結果によると、1985年から1995年の成長の約50%は家計消費支出の増加によるが、1980年代後半以降の貿易・投資の自由化などによる投資と輸出の増加もこの期間の成長に大きく貢献していることが分かった。1971年から1985年までの成長要因分析の結果を加えた成長パターンの長期的な変化を見ると、1985年を境にして政府主導の成長パターンから民間主導の成長パターンへと大きく変化していることが分かった。
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