本研究の目的は、アメリカにおける経営者支配の確立過程いわゆる「経営者革命」と、株主主権の回復いわゆる「株主反革命」という2つの画期的現象に焦点を当てて、アメリカ巨大企業におけるコーポレート・ガバナンスのあり方の変遷を明らかにすることである。 そのために、昨年に引き続き、第1に、コーポレート・ガバナンス論のサーベイを行い、データベースの項目の確定など本研究の方法を精緻化を図った。 第2に、1900年から2000年までの100年間のアメリカにおける巨大企業の取締役と執行役員のデータベースを構築するため、昨年度作成した資産順位上位30社の取締役会のメンバーと執行役員の1900年から現在まで10年おきにのリストに基づいて、アメリカの国会図書館、ニューヨーク公立図書館、ハグリー・ミュージアムで調査を行い、学歴、職歴、昇進などの経歴を明らかにする作業を進めた。 第3に、ゼネラル・エレクトリック社とデュポン社についてのケース・スタディを継続して行った。とくに、ミドル・マネジメントの昇進経路を確定し、ミドル・マネジメントの形成とトップ・マネジメントの内的再生産がどのようにして可能になったのかという点の解明に焦点が当てられた。
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