研究分担者 |
芝村 篤樹 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (10196438)
加来 祥男 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (30024988)
今井 勝人 武蔵大学, 経済学部, 教授 (10062853)
持田 信樹 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20157829)
伊藤 繁 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00003145)
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研究概要 |
本共同研究は,昨年度まで「都市化と都市問題・都市政策に関する日独比較史」という課題のもとに,日本については都市財政,住宅政策,都市化の人口学的特徴,都市行政の発達と都市専門官僚制の形成,ドイツについては社会政策と自治体合併政策を対象としてメンバーが個別に研究を進め成果を上げた.本年度は,これらの研究成果を前提として,国家との関係を視野に入れつつも,さしあたりは日独の比較をさらに踏み込んで行なうことに力点が置かれた.これまで本格的に研究されたことのない日本の方面委員制度をドイツの救貧制度と比較しながら検討しその特質を明らかにしたことはその大きな収穫といえる.日独の本格的比較の作業は,ドイツの都市史研究者2名を招聘して研究会を開催したことによってさらに大きく前進した.その際,都市化の進展が新たな都市問題を生み出し,それへの対応策を模索するなかで,様々な都市政策思想の提起や国家介入が生じ,給付行政や住宅政策・合併政策を含む都市計画のような積極的施策が実施に移され,その結果近代的な大都市が誕生したという構図が示され,日本でそれに対応する過程は数十年のタイムラグをもっでドイツとほぼ同様の過程を辿ったと見るべきなのか,それとも日本の都市化過程はドイツと類似した面をもちつつも独自の過程を辿ったと見るべきなのかが,重要な論点として浮かび上がってきた.この間題は本共同研究の大枠に関わるものであるだけに,来年度も引き続き検討される予定である.また,都市化の人口学的分析や都市専門官僚(市長)の特質などについでも日独のより本格的な比較分析が予定されており,その過程で国家と都市(自治体)の関係における両国の異同についても解明されることになると考えている.
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