この研究課題の二年度目にあたる平成13年度においては、前年度における土木費統計、土木建設業企業の社史、公共事業入札方式、土木建設業界の政策要求運動史等の基礎的整理の上に、それらを相互に組み合わせて土木建設業の歴史を具体的・総合的に把握する作業を続けた。本年度に実施した研究内容は、第一に、主要な土木建設企業の営業報告書類の検討を通して土建技術の推移と請負業者の投資行動の関連を解明したこと、第二に、各種の入札方式に対する請負業者側の行動様式について検討し、官公庁発注事業における入札方式と行政当局による請負業者選別方針の関連について一定の見通しを得たこと、第三に、土木建築労働者層の量的規模と質的特徴について、伝統的土建職人層(大工・左官等)、機械操作担当可能な近代的熟練労働者層、不熟練の日雇労働者層の3タイプごとに明確にするとともに、かつそれら相互間のかなり頻繁な移動状況について履歴書分析等を含めて解明した。 なお本研究課題は平成12年度から14年度の3年度にわたる研究を予定して申請し、研究費の交付を認められたのであるが、平成14年4月から一年間にわたって在外研究に従事することとなったため、平成13年度で打ち切りとせざるをえなくなた。このため3年度目に予定していた内容の一部が残されてしまったが、今後鋭意研究を進め、当初予定した内容を完遂した上でその成果を公刊することを目指している。特に14年度にはイギリスに滞在するので、平成14年度の研究内容として想定していた土木建設業の国際比較については本格的に研究をすすめる積りである。
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