本年度は、バブル期とバブル崩壊後の社会資本整備の動向と地域経済に及ぼす影響に関するデータを整理した。公共投資実績と地域データとしての県民所得、産業構成(各産業の生産額構成比)、第2次産業の生産額、地域経済成長率、失業率、地方債発行額、新規開業・廃業率などを収集し、数量的因果関係の分析の準備を行っている。現段階で得られている知見としては、バブル崩壊前後で社会資本整備と各地域データの関連に地域ごとに差異が見られるが、特に東海地区に限ってみれば、バブル崩壊後も製造業を中心に地域経済は大きく他の地域に比べ堅調な動きを見せていることが読み取れる。例えば、失業率を見てみても、南関東地方の2.20-3.80%、近畿地方の2.50-4.00%に比べて、東海地方は1:50-2.70%と低水準で推移している。年平均の地域経済成長率でも1992-1997年にかけて、関東地域で0.6%、近畿地域で0.8%であるのに対して、東海地域では1.3%を記録している。また、社会資本整備の手法としても三重県の行政評価システムやPFIを中心に新たな可能性が見出される。
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