平成13年度は、平成12年度に構築されたデータ・ベースに基づき、計量的分析を行った。ここでは、主として、市場の効率性を中心とする現代の証券先物市場で見出される特徴が当時の米先物市場でも見出されるかどうかを、経済時系列分析の手法に基づき実証的に検証した。分析の対象とした標本期間は、(1)米先物市場の生成期である1763年から1780年、及び(2)幕末期である1851年から1864年である。 その結果、当時の米先物市場は現代的な先物市場の要件を基本的に満たしており、また、市場そのものも効率的に機能していたことが明らかとなった。しかし、江戸時代の後期になると、政治的な不安定性に伴い、市場そのものの機能も失われていったことも同時に明らかとなった。その結果は、世界的に高い評価を受けている(レフェリー制)ファイナンス関連学術誌であるJournal of Futures Marketsに掲載された。 江戸時代というと、幕藩体制の中で自給自足の農民が武士に収奪されていたと言うイメージが一般的である。しかし、江戸時代は、市場経済システムが高度に発達した時代だった。本研究成果は、それを部分的に裏付けるものといえよう。
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