研究概要 |
地域金融機関の経営は、営業エリア内の経済状態、競合関係および当該金融機関の組織力に依存する。本研究は、主対象を関西および関東地区所在の信用金庫とし、営業エリア内の経済状態に焦点を当てた。先ず、金融機関の個別店舗について、立地点の地理上の経度緯度を確定し、その上で店舗周辺を正方形状のメッシュで区切り、当該店舗の立地するメッシュおよびその周辺8個のメッシュ(計9個)のなかに存在する世帯数や事業所数、および競合金融機関数を集計し、それらの値を営業店が配置されている領域に関する営業地盤を表す指標とした。メッシュは、都市部は1辺500mであり(従って1.5km四方を営業店のエリアとした)、郡部は500mメッシュのない地域は同1kmである。地点を特定した金融機関数は、関東および関西圏併せて2,3147店である。 こうして作成した指標をみると、同一都市に所在する金融機関でも営業地盤には相当の格差が存在し、従来のマクロ的な計数から算出した指標をベースとする分析には大きな問題がある。また、関東圏と関西圏では地盤に相当の差があり、両者を含めて同一のサンプルとして扱うには問題が大きいことも明らかとなった。更に、業務純益率の説明変数としてこれらミクロ指標を用いた回帰計測を行うと、特に小規模の事業所数および競合金融機関数について有意な結果が得られる一方、世帯数については有意性は低い。このことは、利益率の決定要因として貸出および競合先との関係が重要であることを表しており、こうした結果は従来の研究では把握されていなかった。平成13年度は、関東・関西以外の地域についての地点特定化を行い、全国をベースに地域的な特徴を捉えていく予定。
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