本年度は当該研究テーマに関わる内外の研究状況の把握と、現地での調査とを行った。 (1)NPM型改革の各国比較やドイツ国内における自治体行財政改革に関する資料・文献収集を行い、研究動向の調査を進めた。この結果各国の行政改革を、アングロサクソン系諸国、北欧諸国、中欧諸国の三類型において把握する見方がほぼ通説となってきていること、ドイツ自治体の改革はオランダの事例を範とする中欧型改革として位置づけられ、急進的な民営化には批判的な立場に立ちつつ、行政内部の機構改革や会計制度改革等に重点が置かれていることなどが明らかになった。また、ドイツ国内でも州によって改革動向に相違があり、とりわけノルトライン・ヴェストファーレン州において、州政府の支援や自治体法改正を背景に、自治体の改革が大きく進展していることから、同州自治体をさしあたりの調査研究対象に絞った。 (2)上記の状況把握を踏まえ、2000年9月16〜30日にノルトライン・ヴェストファーレン州の諸都市を中心に現地調査を行った。この調査を通じて各自治体における改革の枠組みを具体的に把握でき、また同州政府が提唱し7自治体が参加している自治体会計制度改革に関するモデルプロジェクトの存在を知ることができた。同州はその成果を数年後には全自治体に反映させたいとしているため、今後の本研究の中でこの会計制度改革についても今後引き続き調査していく必要があると考える。 上記の研究成果の一部は、別記論文の他、日本地方財政学会第8回大会(2000年6月4日、於横浜国立大学)での口頭報告「ドイツ市町村における『新制御モデル』の導入」において公表した。
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