バブル崩壊以降、わが国の経済は長期にわたって停滞している。21世紀のわが国の経済のあるべき姿を考えると、短期的には景気回復を図る必要があるが、中期的には不良債権処理、財政、税制、規制改革、金融など総合的な政策パッケージを実施して産業構造、経済構造を改革すること、そして長期的には高齢者福祉を含めたセーフティネットを充実させ、環境、財政を含めて維持可能な安定した社会を目指すことが求められている。経済政策パッケージを評価するには、諸政策が価格、資源配分、所得分配に及ぼす「変化の方向」だけではなく、「変化の大きさ」をも明らかできる応用一般均衡分析が最適である。本研究の目的は、応用一般均衡分析により、さまざまな政策シナリオの得失を定量的に検討することである。 上記目的のために、(1)理論モデルの構築、(2)政策課題の検討、(3)プログラミングの検討、(4)基準均衡データセットの作成、の4つの作業を並行して進めた。(1)および(2)については、平成不況が長引いている原因や高齢化の進展が家計貯蓄に及ぼす影響などの政策課題、また一般均衡の枠組みで不完全競争を取り扱う際の理論的問題を検討した上で、一般均衡体系の根岸表現に基づく理論モデルを構築した。(3)については、数式処理ソフトMathematicaと数理計画法ソフトGAMSを利用することとし、プログラミング技法の習得に努めた。(4)については、1995年度基準年の基準均衡データ・セットを作成する予定であったが、途中で社会勘定行列の形式でデータをまとめる必要性に気付いたため作業を中断し、Kehoe論文等の検討を始めた。 今後は早急に社会勘定行列を完成させ、喫緊の政策課題のシミュレーション分析を行いたい。
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