当該年度においては、主に以下のテーマにおける資料の収集と検討をすすめた。 1第2次世界大戦前後期のアメリカの社会経済構造の歴史的研究 2第2次世界大戦前後期のアメリカのコーポレート・ガバナンス、資金調達に関する調査 3第2次世界大戦前後期のアメリカのマーケティング・チャネルに関する調査 4第2次世界大戦前後期のアメリカの消費生活様式に関する調査 5「マーケティング・コンセプト」をめぐる実践と思想状況に関する調査 6電機産業・食品加工産業・トイレタリー産業のケーススタディ 今年度はおもに国内での調査、資料収集、関係者からの聞き取り調査や意見交換をすすめてきた。その中でも第1に、企業におけるマーケティング目標、その成果指標、評価基準に関して、アメリカにおけるコーポレート・ガバナンスの発展状況が大きく関与しているという仮説にもとづいて資料分析をすすめてきた。公表するには至っていないが、マーケティングにおける売上げ志向、シェア志向、利益志向、長期成長志向等の違いと経営者意識に関して一定の知見を得ている。第2に、マーケティングとは何かということに関わって、商業と取り引きしてまかせるという流通制度から、メーカーが自ら商取引に積極的に関与するという流通制度に変わりつつある状況について、第2次世界大戦前後期のアメリカにおいても産業によって一様ではない多様性を持っていることが明らかになりつつある。この点についてはいっそう分析をすすめたい。
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