昨年度の研究から引き続いて、第2次世界大戦前後期のマーケティングについての研究をすすめるとともに、現代における顧客志向の展開形態についての調査研究をすすめた。 その成果の一部は下記の図書に所収された論文にまとめられた。 1 「インタラクティブな関係から生まれる商品開発」(京都大学マーケティング研究会編『マス・マーケティングの発展・革新』同文舘、12001年、所収) 「顧客志向」の現代的形態の一つとして顧客参加型のマーケティングに注目し、生活協同組合コープこうべが実施した、組合員(消費者)参加の「商品づくりチーム」によるコープ商品の開発事例について検討し、その意義と課題を論じた。特に、消費者の参加は消費者にとってそれ自体が「経験価値」であること、消費者の知恵は商品をとりまく暮らしの情報であること、消費者の主体性を尊重することが消費者の満足度に大きく影響する反面、より重いコミットメントを要求するため事業の継続が容易ではないことなどが明らかにされた。 2 「顧客との『関係性』創出」(近藤文男・陶山計介・青木俊昭編著『21世紀のマーケティング戦略』ミネルヴァ書房、2001年、所収) とりわけ、「マーケティング・コンセプト」の中心的概念である「顧客志向」の現代的形態として、リレーションシップ・マーケティングの展開に着目し、その定義、実践の体系、限界を明らかにし、フリーケント・フライヤー・プログラム、百貨店カード、アウトドア用品販売業大手の消費者組織であるREIの3つの事例を検討した。
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