本年は2年計画の1年目であった。特に本年は、既存研究のサーベイと基礎資料の整理、および企業ヒヤリング調査を行った。具体的には、専門店業態での進出企業のリスト作りと、バンコク、クアラルンプル、シンガポールおよび国内におけるヒヤリング調査である。 まず既存文献サーベイについては、小売国際化研究全体をサーベイし、その中での専門店業態の研究動向を整理した。基礎資料の整理については、新聞記事や各種の業界資料から拾い出した。ただし、個人レベルの投資は確認が難しいため、基本的に多店舗展開を行っている企業に絞り込んだ。主たる業種は、百貨店やGMSの海外進出と軌を同じくして進出してきた書籍、家電、眼鏡、アパレル専門店であるが、アパレル専門店の整理は不十分な点が残り次年度に持ち越された。また、同時に外食産業のチェーンも主なものを抽出した。外食産業も専門店業態の国際化と様々な点で共通する性格を有するからである。 基礎資料の整理やヒヤリング調査を行って判明したことは、直接投資かフランチャイズかによって資料の集まり具合に差が生じることである。一般に、フランチャイズの場合は現地(マスター・フランチャイジー側)での実態を示す詳細な資料の入手が困難であった。 なお、今年度の研究成果の一部は『小売業の海外進出と戦略』に収録されている。
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