研究概要 |
1.研究経過(計画どおり実施) (1)Milkovich & Newman(1999)(2002)Compensation, Cappelli(1999)The New Deal at Work : Managing the Market-Driven Workforceをはじめとする日米の文献研究を実施。 (2)9月にアメリカ・コーネル大学で中間報告・情報収集を実施。 (3)9月にアメリカで企業調査(コーニング、コルゲート、ルーセントテクノロジー他)、8月-2月に日本で企業調査(キャノン、味の素、ダイキン他)を実施。 (4)アメリカ学術雑誌への投稿論文を作成中。 2.知見 (1)1990年代、アメリカと日本の報酬制度は変容したが、その変化は労働組合員のブルーカラー(米)・ブルーカラーと一部ホワイトカラー(日)よりも、非組合員のホワイトカラー(米)・管理職(日)において顕著であった。 (2)しかし、日本の管理職・ホワイトカラーの報酬制度にはいまも組合員の制度との類似性・統合性がみられるのに対して、アメリカの非組合員・組合員間には分離性がみられ対照的である。また、アメリカでは入社後早い段階からファースト・トラックというエリート選抜制度と解雇の可能性があるのに対して、日本にはそうした制度は存在しないなど、こうした点でも日米の統合性・分離性の特徴の違いは明らかである。 (3)一方、1990年代の変化は、成果・柔軟性・集団・能力指向を日米双方にもたらし、ある意味では日米の報酬制度が近づいてきたともいえる。 (4)こうした制度変更の結果、日本では若い組合員の間では同一年齢内で賃金格差の拡大をもたらさなかった。しかし、30代半ば以降の組合員、管理職の間では、同賃金格差は拡大した。しかし、そうした拡大は、経営側の意図するものよりは小規模であった。
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