平成13年度においては、以下のような視点からインタビューならびに、実際のWeb上における取引や掲示板への書き込みといったデジタルデータなどのデータ収集を行い、理論的・実証的な考察を進めた。 デジタル革命が引き起こしているコミュニケーション革命は、さまざまなビジネスモデルの誕生を促している。このような中で、需要の創出・共創プロセスの理解が企業のマーケティング活動にとって重要な意味を持つようになって来た背景には、投機的な生産・流通様式から、延期的な生産・流通様式への生産・流通様式の変換がある。この傾向を究極まで追及したモデルのひとつが創出・共創型製品開発モデルである(design-to-order)。このモデルでは、消費者に製品開発のプロセスを開示しながら需要を喚起するため、マーケティング・リサーチとマーケティング・プロモーションが融合した形で進行する。これは、開発・生産に先立って消費者のニーズを把握するリサーチプロセスと、販売に当たって購買促進活動を行うプロモーションが分断されていた20世紀型マーケティング・プロセスを根底から覆す可能性を示唆している。21世紀型マーケティングモデルの洞察を深め可能性を探ることはすべての企業にとって緊急の課題であると考える。特に、静的なセグメンテーション概念から動的な集積概念への転換を図る可能性を調べる必要がある。企業と顧客との、また顧客と顧客の間での相互作用のプロセスを観察可能にするインターネットを中心としたメディア環境の登場は、従来、静的であったセグメンテーションを、発言や投票という消費者の自発的行動により動的に形成される自律的なセグメント概念に置き換える可能性がある。このことはリサーチ手法にもドラスティックな転換を要請すると考えられる。
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