研究期間の最終年度にあたり、前年度から集中して研究対象にしてきたベトナムが、市場経済化をどの程度まで推進してきているかに焦点をあてて分析をおこなった。昨年度に共著(丑山、池上)での「ベトナム企業改革の現状と課題」を更に進展させるための研究会を数度おこない、そこでベトナム国営企業、合弁会社およびトイモイに基づいた民間会社のいままで公表されてきたデータの分析をおこなった。しかしながら統計数値の信憑性にかなり問題があるとの結論に達し、今年度も再度現地に行き、実態調査の必要性が生じ、2月に渡行し、国営企業、合弁会社、民間会社および現地監査法人(会計事務所)にて、各企業の財務諸表を中心に調査をおこなった。その結果、国営企業、合弁企業ともに、不良在庫が異常に多いことと、民間会社における運転資金の常時欠乏状況、設立時資金拠出における法外とも思える資金コスト高が具体的データによって判明した。また企業が資材調達の際の納入価格の不適切な決定も大きな問題点として明らかになった。これらの動きが、ベトナムにおける国全体の経済の発展にかなりの支障を生じさせていることと同時に、監査事務所の監査体制もさらに標準化への進展が望まれる段階にあることが判明した。なお、ベトナム貿易大学にて経営学者・会計学者・学生に対して、国際化の動きについて特別講演をおこなった。なお、上記の分析は近日中に公刊予定である。
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