本研究の主題は「持ち株会社解禁が企業グループの再編に及ぼす影響の、国際比較の視点からの研究」である。本研究の具体的な課題は、日本では97年の純粋持ち株会社解禁に続き、99年には株式の交換・移転、20O0年には会社分割のための商法改正が実施され、さらに2002年から連結納税制の導入も予定されている。すでに多くの企業がこれらの企業再編手段を採用しているが、これにより、持ち株会社化に拍車がかかるのかどうか、事態の推移を正確に理解し、その特徴を諸外国と比較しつつ検討・解明することである。 まず、資料については、上記の一連の法律改正にあわせて、その厳密な解説をした法律分野の著書とともに、それらを利用するための経営的、実践的手引き書、さらにインターネット等に公表されている資料に至るまでかなり丁寧に収集することができた。諸外国の持株会社についても、出張の際に直接購入したものや、フランスの図書館で収集されている文献と洋書の出版目録を参考にして、これもかなり丁寧に収集することができた。 収集した文献や資料を利用し、国内外出張での見聞を踏まえ、現在次のようなより具体的なテーマを設定し論文にまとめつつある。 1.会社分割と持ち株会社、2.公企業改革・民営化と持ち株会社、3.ヨーロッパの持ち株会社、4.企業結合、企業統合と持ち株会社、5.法人税(企業組織再編税制)と持ち株会社 このうち1はすでに発表済み、2は今年発表予定である。3から5についてもできる限り早い時期に、何らかの形で公表したいと考えている。
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