インターネットにより時間や空間の制約から開放された新しいワークスタイル(テレワーク)を導入する企業においてヒヤリングとアンケート調査を行い、変化するワーカーの労働意識、バーチャルな空間における効果的なコラボレーションの方法についての現状を分析し課題を抽出した。ユビキタスな環境下において、ワークスタイルの変化がもたらす影響は、年功序列、終身雇用的な日本企業における伝統的な雇用形態の崩壊をいっそう加速し、ネットワークにより連結される知の集合体として企業を生み出し、従来とは異なるプロジェクトマネジメントの方法論が必要であることが明らかになった。 また、境界を超えた知のネットワーク結合とコラボレーションの事例研究の過程で、多様な知が混在するメーリングリストを活用した情報共有とコミュニケーションの中から生み出される知識のデータベース化が情報共有に大きな貢献を果たすことと、MLにより連結される集団の中で既存事業におけるよりも新規事業の発案と展開において外部知の内部化戦略が効果的に働き有効性が高いことを発見した。 コミュニケーションへのコミットメントと事業への貢献度を対比することで電子メールというコミュニケーション手段がもたらす効果とともに電子ネットワークでつながるメンバー間の感情の共鳴現象と増幅現象についての興味深い事例を付加的に得ることができた。
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