研究期間初年度である本年度は、(1)効果的な質問票作成のための理論構築と、(2)効率的な調査の実施(=アンケートの回収率を向上させることを主眼に置く)のための方法論調査と人的ネットワークの更なる構築を行った。 効果的な質問表作成のための理論構築については、日米の文献及び過去に行われた幾つかのアンケート調査結果をレビューし、創業間もないベンチャー企業では、資金管理を中心とした財務管理が必ずしも十分に行われていないこと、その重要性が認識されていないこと、その結果、成長・発展の機会を逸している可能性があることなどについての問題意識を深めた。 効率的な調査の実施のための方法論調査と人的ネットワークの更なる構築については、以下のごとく実施した。まず、アメリカにおけるネットワーク構築を目的として、スタンフォード大学、テキサス大学オースティン校、カリフォルニア州立大学フレズノ校を訪問し、調査への協力を要請した。また、カリフォルニア州及びテキサス州の起業家育成機関、ベンチャー・キャピタルにも訪問調査を行い、協力を要請した。次いで、日本国内での調査を効率的に進めるべく、起業家育成機関やベンチャー・キャピタルを訪問し、ヒアリングを行った。これらで得られた知見は概ね次の通りである。2000年春の米国店頭市場(NASDAQ)の急落を背景に新規創業環境が急速に悪化しており、こうした状況下では、日米企業とも、内部の経営管理、特に財務管理の巧拙が成否を分かつ重要な要素となっていること。調査実施に当たっては、回収率向上のため、インターネットを使ったホームページでのアンケートを、従来の質問票送付と並行して行うことが効果的であろうこと、などである。
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