本年度は、3年間にわたる研究の中間年度(第2年度)であり、前年度に実施した準備作業を受けて、有価証券報告書に記載された財務諸表についてのマクロ的な調査をデザインするうえで必要な理論的な枠組みを構築するための検討作業を行った。また、インターネット上でのディスクロージャー制度に関する調査用サイトを立ち上げるための予備的な聞き取り調査を実施した。 1.理論的な枠組みの構築 1997年以降の会計制度改革にあたって改定されたわが国の会計基準は多岐にわたり、それらの影響に関する包括的な調査を行うためには、会計基準設定活動全体を捉えるための理論的な枠組みが必要になる。そこで、会計基準設定活動に関する資料の入手が容易なアメリカの実情を題材として、わが国の会計制度を対象とした調査でも利用可能な理論的枠組みを構築することを目的とした検討作業を行った。そのうえで、結果として得られた理論的枠組みを用いて、企業の財務諸表に与える影響という視点から、わが国の新しい会計基準群の内容を再度整理した。 2.予備的な聞き取り調査の実施 インターネット上で不特定多数の実務担当者を対象としたアンケート調査を実施するうえで有効な設問を行うために、試験的に作成したアンケートを少数の公認会計士、実務担当者、および学生に配布したうえで、設問の意図に即した回答が得られるか否かを検証した。また、その際に試験的なアンケートの配布対象者に個別のインタービューを行い、アンケートの実施にあたって実施すべきである考えられる改善点等についての聞き取り調査を実施した。
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