環境配慮型設計活動に精力的に取り組んでいる複写機メーカーに対するインタビュー調査を行うとともに、日本経済新聞社の環境経営度調査の上位50社の環境報告書の分析を行い、現時点におけるわが国企業の製品開発活動における環境への取り組みを調査した。この結果は未発表であるが、次年度に実施する大量サンプルによる郵送質問表調査の結果をあわせて公表する。環境報告書とインタビュー調査の結果に基づくと、わが国製造業における環境配慮型の製品設計活動は、急速に進展しつつある。また、環境配慮型製品開発を表層的にコスト増大要因として捕らえる企業が多い中で、強固な経営基盤を有している企業ほど、環境配慮を競争優位のための要件として位置付け、顧客からも高い評価を得つつあることが観察された。 2001年5月に出版予定の書籍では、環境配慮型製品開発マネジメントに関する章が含まれている。また、豊島問題として注目された自動車のシュレッダー・ダストの処理問題の現状把握と環境管理会計の役割に関する研究を行い、2001年1月18日に開催された日本原価計算研究学会関西部会において報告を行った。報告に用いた原稿を修正したものは、2002年に発行される『原価計算研究』に所収の予定である。今後は、家電リサイクル法の施行も始まるので、家電業界における環境配慮型製品開発マネジメントに対する理解を深め、産業特性などが、製品開発にあたえる影響もあわせて分析する予定である。 さらに、環境配慮型の戦略プロフィット・マネジメントを支援するIT技術や経営戦略、および、品質管理の新たな切り口として注目を集めているシックス・シグマに関する論文は、次ページに掲載されているようにすでに公表ずみである。この切り口からの検討は、次年度も引き続き実施する。
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