国際会計基準(IAS)がグローバル・スタンダードとして機能する会計世界において、それが各国の会計制度にいかなる影響を及ぼすのであろうか。こうした現状を分析することが、この研究の第一段階の目的であった。その目的のために、本研究は、各国の代表的な会計学者、研究機関、あるいは職業会計人等(具体的には、英国、フランス、スイス、ドイツ、ポーランド)に向けて、当該国における国際会計基準への戦略的な対処方法を尋ね、かつその批判的意見を専門雑誌『企業会計』新シリーズ【IASを巡る海外研究者の声】(2000年5月号から9月号、中央経済社)を掲載した。 また、各国の会計制度が国際会計基準に収斂する状況において、わが国の会計システムも、経営の透明性と比較可能性を求めて、これまで以上に会計情報の量的拡大化と質的向上が要請されている。そうした動向における未解決の問題の一つが、会計情報の言語的機能の解明である。広く会計情報は、企業の経済活動を的確に写像すると期待されているが、現代会計では、そうした写像論では説明できない現象が生じている。国際会計基準がグローバル・スタンダードとして機能する現代において、会計情報の言語機能を分析し、その成果を研究『会計情報の言語分析とその意義』(會計2001年1月号)に公表した。 また、この研究に関連して、『現代会計の基礎研究』(2001年 中央経済社)を公刊した。
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