◇排出権の発生形態は、割当量の一部、排出削減ユニット(Emission Reduction Units ERUs)、認証排出削減量(Certified Emission Reductions CERs)の3つがあり、これらは全く異なった制度から生じる。しかもそれぞれが、第三者機関の審査(auditing)、モニタリング(monitoring)ならびに検証(verification)を通じて、透明性(transparency)、効率性(efficiency)、説明責任(accountability)を確保しなければならないのである。しかし、一度、排出権取引市場に入れば、個々の排出権の信用度に差があるものの、「資産」として認識されるのが妥当である。 ◇また、アメリカのCBOT(シカゴ商品取引所)におけるSO_2(二酸化硫黄)取引では、一部オークション制度が導入されている。またGHG(温暖化ガス)取引では、国内・国外市場からの購入がベースである。以上のことを会計的に分類するならば、大きく4分類される。すなわち、排出権の発生形態は、(1)無償割当分、(2)JI・CDMからの産出分、(3)オークションでの購入分、(4)国内・海外市場からの購入分である。 ◇さらに(1)から(4)の各々が、使用目的によって2区分される。すなわち、(1)その企業が自らの消費分に充てる自己消費目的と、(2)あたかも「投資有価証券」のように、排出権の将来の値上がりを期待した投機目的とが考えられる。ただし、ここでいう排出権は、「実物資産としての排出権」、すなわち「現物」である。 ◇排出権には、もうひとつ認識しなければならない会計上の性格がある。それは、現物から派生した「デリバティブ」としての性格である。上述のSO_2ならびにGHG市場では、オプション取引が活発である。特に、GHG市場では、京都議定書が批准され発効される2008年まで、「現物」は出回らないので、現在のところオプション取引とフォワード取引のみである。デリバティブとして排出権を用いることは、排出権の利用形態として位置づけられる。場合には、「金融商品会計基準」が適用できる。また、条件が合致すれば、ヘッジ会計を適用することも可能である。
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