研究概要 |
本研究は、主要諸外国におけるヘッジ会計の理論及び基準設定の整備状況をサーベイするとともに,ヘッジ会計が実務上どのように行われているかを実証的に調査研究し,日本におけるヘッジ会計の理論と実務に対する具体的提言を導くことを主たる課題とするものである。本年度は、東京証券取引所と大阪証券取引所に上場する2001年3月決算会社504社を対象として2001年7月に「時価会計・企業統治に関する調査」を実施した。調査の内容は,(1)有価証券の評価,(2)ヘッジ会計,(3)企業経営に対する時価会計の影響,(4)企業統治に対する経営者の意識の4点から構成されている。2001年3点で回答会社の8割の企業が持合株式などのその他有価証券の時価評価を行い,そのほとんどが評価損益を資本直入法で処理していた。また,為替リスクについては約7割の会社が,金利リスクについては約8割の会社がヘッジ会計を適用したという実態が明らかとなった。さらに,時価会計の導入によって株式の相互持ち合いが解消されつつあることが,会社内部者のアンケートによって具体的に確認することができ,金融の自由化・国際化によって重視されることとなった株主重視の経営へシフトしつつあることが実証された。これらの分析の詳細については、別掲の論文において公表している。
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