研究課題/領域番号 |
12630162
|
研究機関 | 東邦学園短期大学 |
研究代表者 |
後 千代 東邦学園短期大学, 商経科, 助教授 (50269669)
|
研究分担者 |
後 房雄 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20151855)
|
キーワード | 監査委員 / 包括外部監査 / 地方公共団体 / 議会 / パフォーマンス監査 / GAO / アカウンタビリティー / 業績評価 |
研究概要 |
3年間の研究期間の初年度である12年度は、公的アカウンタビリティーを遂行する際、行政と議会、監査機関の3者、とりわけ議会と監査機関との関係に焦点を絞り、両者の関係如何がアカウンタビリティーの遂行に一定の影響力を持ちうるのではないかという仮設に立ち、研究を行った。 主な検討対象としたのは、海外では、米加の州(オレゴン州、ブリティッシュコロンビア州)、カウンティー(ムルトマ)、市(ポートランド)であった。これらの監査機関に対し、主に、監査機関と議会との関係について、またパフォーマンス監査についてヒアリングを行った。 また、国内においては、地方自治体レベルでは名古屋市、三重県、東京都の包括外部監査にかかわる外部監査人、監査事務局員に対するヒアリング、市会議員へのヒアリング及び国レベルでは会計検査院でのヒアリングに加え、国会議員へのヒアリングを実施した。 現在はこれらのヒアリングの取りまとめ作業中であるが、これまでの結果から以下の諸点が指摘しうる。 まず、監査の独立性に関しては、ムルトマカウンティーで実施されている監査人の「公選制」が、独立性を担保する上では優れているものの、特にパフォーマンス監査を実施するには、高い専門性が要求されるにもかかわらず、ポリティカルな才能によって監査人に当選する懸念等が指摘される。 また、わが国の場合、現在包括外部監査制度の中で、従来の監査委員監査とは異なった3E監査の領域へも踏み込んだ監査が実施されているが、議会との連携が乏しく、制度的にも充分な手当がなされていないため、部分的かつ単発的な監査になる傾向が指摘される。 さらに、わが国の国レベルでは、会計検査院、総務省でのヒアリングの結果、現在省庁再編の中で、アカウンタビリティを保証する会計システムへの取組みが遅れていることが明らかになった。
|