研究分担者 |
山田 裕史 岡山大学, 理学部, 教授 (40192794)
澁川 陽一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90241299)
齋藤 睦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70215565)
太田 琢也 東京電機大学, 工学部, 助教授 (30211791)
西山 享 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (70183085)
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研究概要 |
実簡約リー群の無限次元既約表現に付随したHarish-Chandra加群は,べき零共役類上に台をもつ随伴サイクルを基本不変量にもつ.随伴サイクルに現れる重複度は,べき零軌道上の一点の固定部分群の表現の次元として捉えることができるが,この固定表現が,Harish-Chandra加群を実現する勾配型不変微分作用素の主表象写像と深く関わることが,研究代表者の一連の研究(平成10-11年度)により明らかになりつつある.本課題研究(平成12年度)では,主として四元数型無限次元表現への応用を念頭において,固定表現の既約性や構造に関する研究をより一般的な立場から実施し,以下に述べる成果および新知見を得た. 1.既約な随伴多様体をもつHarish-Chandra加群につき,対応する固定表現の既約性に対する有効な判定条件を与えた.さらに,固定表現からの誘導により得られた加群がもとのHarish-Chandra加群のK-型構造を復元するための十分条件も与えた.これらの成果の四元数型表現への応用を,現在研究計画中である. 2.離散系列表現について,勾配型微分作用素の主表象写像を用いて,固定表現のなかで十分大きな部分を占める部分表現を特定した.特に,四元数型表現,Borel-de Siebenthal表現等を含むいくつかのクラスの離散系列については,特定した表現が固定表現全体に一致することを示した. 3.本研究費により招聘したHung Yean Loke氏(シンガポール国立大)との討論をとおして,四元数型表現の誘導加群への埋め込みを記述するために有用な新知見を得た. 研究代表者は,1および2の研究成果を,(1)数理解析研究所共同研究集会「群の環の表現論及び非可換調和解析」(2000年8月),(2)同研究所短期共同研究集会「概均質ベクトル空間の研究」(2000年12月),(3)研究集会「巾零軌道と表現論2001」(九州大学,2001年2月),などで口頭発表した.各研究分担者は,各自の課題研究が深く関わる上記の研究1-3の各過程で,セミナーや討論をとおして本研究に常時参画した.(付記:研究分担者による研究および成果取りまとめをより効率的に図る必要が生じたため,コンピュータを1台購入した.)
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