研究概要 |
本研究の当初の目的は、円分型と呼ばれる超楕円曲線に対するAbel函数の、従来の意味とは異なる(しかし極めて自然な)n倍公式(それは有理式であるが)の分子を調べることにあった.しかるに第1年度に分母が大変に興味深い行列式表示を持つことを発見し、第2年度もそれについて研究を進めた.種数2の場合は、Glasgow Math.J.(2002)に掲載され、種類3の場合は、Tokyo J.Math.に掲載が決定している。種類一般についても、第3年度のはじめには論文がほぼ完成していた.これは現在審査中であるが,Web上におかれた原稿ファイルをdownloadする研究者は多く,実際,筆者は英国の研究者(J.C.Eilbeck他)から招聘を受けて,交流してきた. 第3年度の終盤には,上記分母の行列式表示の成分に現れる函数についての数論的研究に取り組んだ.それはLaurent展開の係数(有理数)についてのもので,三角函数cot(u)の展開函数であるBernoulli数や円分型の楕円函数δ(u)の展開関数であるHurwitz数と同じく,von Staut-Clausen型の定理やKummer型の合同式が見事な形で成立することを発見したのである.証明はでき上ったばかりで,現在Web上にて公開している. 以上の様々な成果を各地で発表したり,必要な情報や文献の収集のための,代表者との議論をこまめに行い,成果の完全性を高めるためにも協力をした.
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