研究概要 |
工藤は,代数体の不変量を補間する種々のp進関数を解析している.論文の第1はp進L関数の微分値に関するものであるが,関連する数値計算を継続して計算結果を蓄積中である.それと同時に,10進15桁程度までの整数を大量に素因数分解する必要がある場合のアルゴリズムに改良を加え,最近の計算機の進歩と相俟って,これを利用するプログラムで大きな判別式をもつ実2次体や虚2次体の類数の計算が容易に出来るような最適化を行った. 鷲尾は,有限体上の超楕円型の代数関数体について,それらのL-関数,類数,Hasse-Witt不変量,Hasse-Witt行列の研究を行ったが,特に大型電子計算機を利用してGF(q)(qは素数の平方)上で極大体となるようなタイプの超楕円代数関数体の実例計算を行って,種数が2または3となるものでまだ解明されていない新しいタイプのものを発見した.現在それについての理論構成を行っている. 末吉は,2次体のイデアル類群の構造を類体塔問題との関連で詳しく調べた.論文の第2では,判別式のあまり違わない2次体の間の狭義4-rankの関係式を精密に得た.論文の第3では,2次体の狭義4-rankを記述するRedei行列のrankについて,最小rankをもつRedei行列の特徴づけを正確に得た. 更に,これらの成果を用いて,虚2次体κの類群が(4,4,2,2)型の部分群を含み,κの素判別式に-4が含まれないとき,κの2-類体塔が無限列になることを示した(大森俊治との共同研究). また,実2次体についても同様の考察を行い,類群が(4,4,4,4)型の部分群を含めば2-類体塔が無限列になるというMaireの結果の別証明を得た.この他,2-類体塔が無限列になるための条件を種々の場合に計算した.これらの結果についても,現在,論文を準備している.
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