研究概要 |
Wilson商w(p)=((p-1)!+1)/pは、Teichmuller指標に対する一般Bernoulli数のp進的近似やp進Dedekind和のTaylor展開係数に現れる.工藤は、そのmod pの値を計算機によって計算した.個々の値を計算するのにそう時間はかからないが、アルゴリズムの工夫によって、p=16,000,000までの表が得られ、その範囲でw(p)がpで割り切れるのはp=5、13、563のみであることがわかった.また、暗号との関連でCarmichael数について調べ、10の15乗以下のものは24時間以内、10の16乗以下でおよそ5日強(Pentium III,1GH_Z)、10の20乗までは有効なプログラムを作成した.さらに改良をし、分割して処理ができるため上記までは実行可能である。 鷲尾は、有限体上の代数関数体の類数の問題を、有理点の数とHasse-Witt行列の間の関係式に着目して研究してきた.今回の研究では、ある楕円関数体の場合にHasse不変量が0となることを直接には証明し難いが、有理点の数の理論付けにより、Hasse不変量が0となることを間接的に証明でき、Hasse-Witt行列の成分に現れる2項係数に関するひとつの新たな関係式を与えた. 末吉は、2次体のイデアル類群の構造を類体塔問題との関連で詳しく調べてきた.今回の研究では、2次体の2-類群の構造の研究を2-類体塔の無限性の研究に応用した.Hajirは1996年、虚2次体の類群の4-階数が3以下のときに2-類体塔が無限になることを示したが、本研究では、Hajirの方法を利用して、虚2次体kのRedei行列を詳しく調べることにより、kの類群が(4、4、2、2)型の部分群を含み、kの素判別式に-4が含まれないときにも、kの2-類体塔が無限になることを示した.証明の方法は、類群の4-階数が2となる虚2次体kをRedei行列の型により分類し、それぞれの場合に、kの適当な不分岐2-拡大Kを構成し、その上の無限2-類体塔の存在を示すというものである.
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